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肩こりは、肩を揉みほぐせばよいのか?

肩こりの原因

肩こりの原因というのは、意外と多岐にわたります。
ところが肩こりといいますと、すぐさま「揉みほぐす」という発想が、一般には、いや療術家にさえも蔓延しているのではないでしょうか。

「凝(こ)る」には原因があります。
もっと言いますと、凝らなくてはならない、その必要があるから凝るわけです。
どれだけ一生懸命揉んだって押したってほぐしたって、必要があるかぎりは凝り続けます
しかも、何度も揉まれ続けますと、「適応」といって、揉まれた箇所は刺激に耐えようとしますから、カタくなってきます。
そうすると、さらに力を入れてもらわないとほぐれなくなる。
言葉を替えて言いますと、どんどん鈍っていくわけです。

そんなゴリ押しのようなことをやめて、もっとスマートに解消しませんか。
要は、凝(こ)る原因をつきとめ、それをなくしてあげればよいのです。
指標として、おおよそ三つの柱があります。

ひとつは、腕からの問題です。
たとえば、なにかの拍子に手をついたりして手首を痛めますと、そのアンバランスがそのまま肘に波及します。
そして、そのような肘の不具合がまた、肩にも及びます。
手首の関節、肘の関節、肩の関節がそれぞれアンバランスのままになりますと、その周囲の筋肉も突っ張ったようになります。
これは、骨格を守るための反応ではあるのですが、症状としては当然、凝ります。

もちろん、からだの使い方によっては肩そのものに来ることもありますし、手首をすっ飛ばして肘や肩から発生することもあります。
また、打撲というケースもありましょう。

いまひとつは頭部からの問題です。
アタマがこわばって両首筋や僧帽筋を引っ張りますと、そのまま肩が張って、コリます。

そしてあとは、足(脚)からの問題です。
まず、足首やヒザとの不整合から股関節の角度が微妙にでもズレてしまいますと、股関節自体がカタくなります。
そうなりますと、あおむけになってみて、そけい部を押してみると、痛く感じる凝った部分があるでしょう。
これが少々悪さをし、背中の筋肉(脊柱起立筋)を硬くします。
背筋が硬くなるということは、肩胛骨(けんこうこつ)も不自然に引っ張られることになり、肩、層帽筋に圧迫をかけます。

それと、仙骨が傾いたりねじれたりしても、背中は硬くなります。
これも多くは、股関節とセットだったりしますネ。
同じく、恥骨や仙骨や尾骨のズレやねじれを正さなくてはならないこともあります。
これが、肋骨(ろっこつ)や鎖骨(さこつ)を歪め、頸や頭部にもアンバランスを来たすこともあります。

この場合、足や腰を調整することを怠ってひたすら肩にアプローチしてところで、徒労に終わります。
やってる方はいつまでたっても効果が上がらない。
受けている方はいつまでたってもラクにならない。
お互い、ストレスが溜まりますよネ。
ですから、間違いのない観察をすることが大切なのです。

そして当然、腕や肘、肩の問題と、足からの問題が複合していることも多いです。

肋骨のこと

もうひとつ、大切な観察ポイントがあります。
それは、肋骨(ろっこつ)。
こう書きますと、意外に思う方もいるのではないですか?
しかしよく考えてみてください。

からだの中心にある骨で、背中側にあるのが背骨、お腹側にあるのが胸の骨(胸骨=きょうこつ)ですよね。
そのふたつの骨を、肋骨がつないでいるわけです。
背中側が硬いということは、すなわち胸の方も硬くなっているということです。
私が見るかぎり、胸の側の方が先に固くなっていることが多いです。

ですから、背中の硬いのは、肋骨(ろっこつ)の可動性、詰まりをほどいてあげないと解消されないことが多い。
そこをいくら揉んでもほぐしても「コリ」が解消されないのは、こういったわけなのです。

学生の頃から片側の肩のコリがひどく、20年以上辛いままで過ごしてきたという方がありました。Oさんとしましょう。
特に肩胛骨(けんこうこつ)のあたり。
どこへ行っても、なにをやっても改善されないとのこと。
お話をうかがいますと、どこの先生も一生懸命肩をほぐしていたそうです。

「それではムリです。貴方の肩こりは肋骨(ろっこつ)が原因でしょう」と言いますと、Oさんは目がテンになっていました。

私は操法のなかで肋骨(ろっこつ)の操法をおこないました。
そういたしますと、Oさんの表情はいかにも不満そう。
これまで気合いを込めて揉む先生ばかりだったようですので致し方ないのですが、Oさんは親のカタキのように揉まれることを期待していたのでしょう。
それがあまりにソフトに、しかも肋骨(ろっこつ)に手を当てられるだけなので、拍子抜けしたという按配。

私は例によってまったく力は使わず、肋骨(ろっこつ)のなかの硬結を感じ、そこに手を当て、静かにそれがほどけるのを感じていました。
そして肋骨(ろっこつ)の可動性が戻り、呼吸も深く入るようになり、そして肩を動かしてもらってみますと、どこへ行っても、なにをやっても決して解消されなかった、あの憎たらしいゴリゴリはどこへやらなくなっていました。
しかし私は、肩や肩胛骨(けんこうこつ)には全然さわっていません。

わけがわからないのは、ご本人。
着替えをしているあいだも、「う~なんでだろう・・?」と呟いておられました。
よく、その場でどうしてよくなったのかを質問されることも多いのですが、なかなか一言でお答えするのはムズカシイんです。
愉和に来られる方もそうでない方も、時折HPをのぞいていただくとよいナと思います。
少しずつでも読んでみていただければ、いろいろな気づきが出てくるのではないかと思うんです。

繰り返しになりますが、コリというのは必要があって出ているものなのだということですネ。
その必要がないようにしてあげれば、なんらほぐさなくたって、コリは解消するということです。
操法をする者が心得なければならないことは、コリをどうにかしようとするのではなく、いかなる経緯で起こっているのかを詳細に読むことでしょう。
そしてこれは、どんな症状や病気にも言えることです。

いかにして操法をおこなうか

ことほど左様に、肩こりは微妙な経緯のなかで発症します。
結果として出る症状は同じ「肩こり」なのですけど、それを解消するためになすべきことは、とても広い幅を持っていると言えましょう。
ただひとつ、なすべきでないことは、凝っている肩を一生懸命揉むことでしょう。

すでに申しましたように、このような施術は「原因の解読」という一番大切な項目をすっ飛ばし、結果として発症しているコリだけを短絡的にどうにかしようとしている行為です。

まず、背中が硬いかどうか。
股関節が硬いかどうか、そしてそけい部に圧痛があるかどうか。
これを調整した時点で、背中も肩も大きく変わることもあります。

そして大切なのは、鎖骨(さこつ)です。
鎖骨(さこつ)と胸の関節がこわばってくっついていますと、肩関節、肩胛骨(けんこうこつ)にそのまま影響が行きます。
この場合は症状の出ている肩部分ではなく、ノドの下の鎖骨(さこつ)と胸骨(きょうこつ)の関節を調整しなければなりません。
さらに首すじ(胸鎖乳突筋)のハリ、肋骨(ろっこつ)の詰まり、頸椎の歪みなどなどを調整します。
大本の部分で、恥骨、尾骨のねじれなども大切な部分です。

ここまでおこないますと、肩こりは大本から改善されるでしょう。
操法後、呼吸も深く入るようになったというお話もよく聞きますヨ。