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どうしても取れない痛みについて

なにをどうやっても改善しない

厳然として痛みはそこにあるのに、押したり揉んだり、あるいは矯正をしても、はたまた愉気してもご祈祷しても、なにをやっても痛みが取れない・・なんていうことがやはり、ときにはあるのではないでしょうか。

これは、むしろ治療院のセンセの方が強く実感するのではないかと推測します。
それも、むしろウデがよいと評判の。
まァ痛いところに電気を当てるとか、そこだけゴチャゴチャいじったりするだけのところは問題外ですが。

いつもは○○の痛みなんて、ちょちょいのちょい・・ていうくらいウデに自信がある先生でも、今度ばかりはお手上げというような状態・・
そうこうするうちに、患者さんもあきらめてしまい、その先生も、「あれは特別で例外の症状だった」などと自分を納得させてしまったりしないでしょうか。

ただし、患者さんの方はお気の毒です。
どうやってもよくならないのであれば、それは単純にやりかたが間違っているということに他なりません。

関節が痛いこともあれば腹部が重いこともあるし、また肩がおかしいこともあるでしょう。
しかし、いかにそこにアプローチをしても、一時的にラクになるだけですぐに元通りになるということは、原因は別の箇所にあると考えた方が合理的ですよネ。

わかりにくい原因

これまで、別の項を設けてそれぞれの症例を紹介してきましたから、たとえば肩の症状は肘や手首や鎖骨(さこつ)の歪みなどから起こるとか、腰の症状はヒザや足首の歪みから起こることが多いというような事柄は、まずもって前提といたします。
このことを踏まえ、理解しているという立場に立って、さらなる難治性の症状の治療の手法ということでお話いたします。

根本的な原因が痛みの箇所にないという場合、また上記のように別の歪みからの派生でもないという場合、実は、それは軟部組織(筋肉など)の変性が原因となっていることが多いのではないか。
稀に、骨自体が拘縮していることもあります。
これはもう、よっぽどのことですが。

つまり、筋肉などが拘縮してかたくなり、それが周囲の別の筋肉や骨を引っ張ったり押しのけたりして、アンバランスを引き起こす作用が出、それがそこから離れた場所に症状を作るというわけです。

どうみても関節自体にモンダイはないのだけれど、つねに痛い、どんなアプローチをしても解決しない、これは拘縮を疑うのが早道です。

ただ、どうやってそれを探すか。
これについて明確な手法をお教えしたいのはやまやまですが、これはもう「経験と勘」がなければムズカシイでしょう。
私でも、難儀することもあります。
ただし、力は使わず、こころを静かにし、きちんと丁寧に観ていけばまず発見できます。

もちろん、拘縮だけが原因ではないことも多々あります。
複雑に入り組んでいるときは、それもまたていねいにほどいていかねばなりません。
これらのことは、わきまえておくべきと考えます。

深部にアプローチをする

私たちが実際に直接アプローチできるのは、関節でもコリでもなく、極論すれば皮膚だけですよネ。
でも効果という点では関節にもコリにも、臓器にさえアプローチが可能です。

拘縮が深部にあったとしても、それは必ず表面に表現され、皮膚を通してアプローチできます
もちろん、まずは探さなくてはなりません。これが第一。
次に、それをとらえること、これが第二。
そして、それをほどくこと。これが第三で、以上です。

探しかたは、基本的に手指で観察するしかありません。
あとは、ご本人の問診からの読み取りのなかから見当をつけることもあります。
たとえばラグビーをやっていれば肩がぶつかるだろうから肩付近とか、野球をやっていれば肘を酷使しているだろうとか。
情報を総動員して探し、観察し、診ることが大切です。

で、それが見つかりましたら、今度はそれをしっかりととらえます。
「しっかりと」とは、その拘縮のなかのいちばん過敏な箇所を間違いなく押さえるといういうことです。
ただし、これはグリグリ押すのではまったくなく、その過敏さを感じられるくらいの圧です。
おおよそ5グラムから数10グラムくらい。

そして、そこといちばん共振するような箇所を探し、そこにも手を当てることで拘縮はほどけていきます。
いっさいの力は必要ありません。
私なんぞはさまざまな硬結がほどけるたび、なんとからだはうまいことできているのだろうと、感動したりします。

例をあげましょう。

尾てい骨のすぐワキがむずがゆいような痛みがずっと続いていて不快。
縮こまっているような感じで、つい足を伸ばしたくなる。
昔にそこを打撲したという認識はあるけど、おそらくそれが災いしているのだろう、しかし、どこへ行ってもまったく改善されなかったという方。

この方の場合、下腹部のなかで腸骨のすぐキワのあたりに拘縮が認められました。
こういった状況の場合、男性ですと前立腺にモンダイが起こっている場合があります。

当然、尾骨や仙骨は操法するのですが、下腹部の拘縮をほどくことで、不快な痛み、体調不良は解消しました。

もう一例。

頭のイヤな重さと、肩甲骨のハリ、耳の不調。
このような場合、それぞれ別々になにかやっても、まずなにも変わりません。
別々ではなく、ひとつのものとして大本を解読するのが整体する者の役目。

この方の場合、片側の鎖骨(さこつ)の上側(ノドのほう)に微妙な拘縮がありました。
これが実は頭部へかなり大きな影響を与えるということが、経験的に間違いないことを確認しています。
ですから、いろいろあっちこっちいじらなくてよいのです。
鎖骨(さこつ)とそのすぐワキの拘縮、それをていねいにほどいてゆけばよいわけです。
そうしましたら、絵に描いたようにすべてが同時に解消しました。
それとオマケですが、呼吸が目に見えて深くなりましたね。

整体とは、からだの解読生命の感応が大切です。
ついつい力でほぐしてしまおうとする方が多いようですが、それはなんの益にもならないでしょう。
また、衝撃をあたえて骨を動かそうとする矯正法ですが、これは弾力のあるからだであれば耐えることができ、うまくすれば整ってしまうこともあると思います。
ただし、弾力のないからだであれば、当然のように毀します。
そしてそのような方を、何名も見てきました。

この拙文を読み、ひとりでも患者さんを毀すようなことがなくなり、また、辛い症状を的確に治療できるヒントになれば幸いです。

本当の難しさ

本当の難しさとは、症状の大小ではなく、バランスが複雑系になってしまって読みにくくなった状態、あるいはこじれが内攻していて変化する反応が乏しい状態になったからだです。
こういった状態の方がいちばん難しいと、つねに痛感しています。
正直に申しますと、難儀することもあります。
常に、なにかに悩んでいるといってよいでしょう。
現在の私の課題は、このような状態をほどくための研究といえるかもしれません。