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痙性斜頚の場合

頸(くび)が、強い力で引っ張られる

これは、辛い。
常に、手で頭部を支えていないと、まるで誰かに強引に片方に押しつけられるような痛みと不快感を覚えます。

いったいなぜ、このような症状が起こるのでしょう。
ものの本には「こころの問題」もありそうだと書いてあります。
私も、その意見には一部賛同できます。
ただし、こころの問題と書きますと、ホントにこころになにかモンダイがあるのではないかなんて思っちゃう方が出てくるかもしれません。

あくまでこころとからだが連動して、特定の箇所を緊張させる習性、あるいはクセが積み重なり、その結果として表出した症状なのだという話だということです。
また、古傷の打撲や骨折が原因となっている場合もあります。

なぜ、そのようになっているか

引っ張られるのが首だからといって、あわてて首そのものをどうにかしようとしても、それは浅はかというもの。

まず、どこがどうなって、そしてどのような過程を経て首にたどりついたのかを検証するべきです。

30代後半のその男性は、確かに年代的にもストレスを受けやすい境遇にあるでしょう。
Kさんとしましょう。

まず、そけい部に圧痛があります。
これは股関節にこわばりがあることを示します。
立ってみると、重心が小指側にもかかっていますので、安定しないバランスですし、腰にも負担がかかりやすいはずです。
なにより、股関節のこわばりは、背中の筋肉の緊張を起こしますので、肩胛骨(けんこうこつ)も引っ張りやすいのです。

それと、肩胛骨(けんこうこつ)をみても、あきらかに通常のものではなく、そこから首を引っ張っている作用がかかっています。
肩胛骨も、常に左側が凝っていて、何度もマッサージに行ったとのことでした。

症状は出なくとも、長い間そのような状態にありましたから、肩から鎖骨(さこつ)にかけてもこわばっており、ぜんそくの症状もありました。

そして患部。
頭蓋骨の後ろ側から背中にかけて、頸椎にそって2本の筋がありますが、これがもはや左右で出っ張り具合がまったく違っています。

少々だらだら書きましたが要はKさんは、全身で、首が片側(左)に捻れるようなあり方になっているわけです。

いかに治療すべきか

これまで見ましたように、首のモンダイはどうやら全身のモンダイのようです。
ですからやはり、足腰から診ていかねばなりません。

まず股関節の調整をすることで、背筋(脊柱起立筋)がゆるみます。
この時点では、斜頚の症状はほとんど変わりません。
しかし、重要なのです。

それから骨盤と肩胛骨(けんこうこつ)、これを調整し、本来あるべき姿に戻します。
本来あるべき・・・とは言いましても、見た目はほとんど変わりません。
ただし、さわってみればムリな状態からナチュラルな状態に変わったのはわかりますし、なにより本人の自覚症状がまったく違います。

それから肩胛骨(けんこうこつ)に関連して、肩関節から鎖骨(さこつ)との関節までの調整をおこないます。
ちなみにぜんそくの症状は、初回でなくなりました。

で、全身のバランスがとれ、重心も中心に据えられ、偏ったこわばりがなくなった時点で、はじめて患部に向き合います。

ここまで来ますと、もう引っ張る力は比べようもなく弱くなっていますが、頭部から首筋のラインはまだ左右の出っ張りは変化がありません。
最後に、ここを調整するのですが、この調整法はちょっと表現しにくい・・

このように「全身のバランス」と「首のバランス」双方を調整しますと、頭部から首筋のラインもほぼ整いました。
ここまでで5、6回操法をしまして、症状的には、だいぶよくなってきました。
Kさんのお話では、あれだけ辛かったのがこんなによくなるとは思わなかったと喜んでいただきましたが、これからも左肩(肩胛骨)に力が入っていると感じたら、ちょっと意識して抜くようにしていただくと、なお宜しいと思います。

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総括してみますと、腕のスジ、手指のスジの異常なこわばり、また足のスジのこわばりが遠く、首のスジまで達する状態になっていることがとても多い。

痙性斜頸をふくめたジストニアというのは、よく「脳の誤作動」というふうに聞くことがありますが、私がこれまで診たかぎり、特定部位の使いすぎや古い打撲や骨折などによる「バランスの崩れ」が大きいというふうに感じます。

ただジストニアが他の病気・症状と異なるところは、共通する観察ポイントがないということです。
たとえばメニエールだったら手指、心臓病だったら左手というふうに、ある程度そこを見るとわかるのですが、ジストニアにはそれがありません。
実際のところ、わかりやすいものもあれば、そうでないのもあります。
その分、他よりも難しいときもあります。